呉服店から名義貸しの依頼を受けそれに応じて個別クレジット契約してしまった事例

事案概要

消費者トラブルに報告されている悪質商法の中でも、特に目立っているものの一つに「呉服販売」に関するものがあります。
呉服店そのものが悪いというわけではないのですが、呉服の売買やレンタルを名目に勧誘する悪質商法が多くあるので、利用をする時には十分に注意をしていく必要があるでしょう。

実際にあった事例としては、まず呉服店から名義貸しの依頼を受けたということから始まっています。
流れとしてはまず知り合いの呉服店の販売員から、お店で課せられている販売ノルマを達成することができなくて困っているので、買ったということにして名前だけ貸してくれないかという依頼を受けます。

そこで知り合いということもあって着物購入のためのクレジット契約をするのですが、その後実際に着物が自宅に送付されて来て、さらに信販会社から高額の請求が回ってくるのです。
おかしいと気づいて呉服店に連絡をするものの既に業者はいなくなっており、信販会社から「支払いが滞ったので一括返済を求める」というような通達が来たといいます。

争われた理由

この件の場合、大きな問題になったのは、最初に呉服を購入するという名義貸しを持ちかけられたというところで、本人に購入の意思がなかったということです。
クレジット契約をする時にも「あとで返済するから」という呉服店側の話を信じて本人確認の電話に応じており、契約自体は問題なく行われているというところがポイントになっています。

そこで裁判になったのですが、本人と信販会社の間では契約を自分の名義で行っていることからその部分を無効にするということは難しく、問題は本人と呉服店の間で返済を受けることができるかという部分となりました。

実際に名義貸しを依頼した場面においても、呉服店側は数時間も自宅に居座るなど強引な方法で販売を迫っており、他にも同様の事例があったことから本人に呉服を購入する意思はなかったと判断をされることになりました。
ただ、裁判として返済を受けることが認められたからといってすぐに返済を受けられるかどうかは呉服店の所有する金銭の状況によります。
裁判例があるからといって絶対に安全であるということにはなりません。

解説

こうした名義貸しの問題は呉服以外の場面でも非常に多く聞かれており、中には相手が既に行方不明になっていて請求そのものができないというようなこともあります。
この手のトラブルに巻き込まれないためには、まずどのような事情があっても絶対に自分名義の金銭契約はしないようにしましょう。

名義貸しであっても本人名義で第三者(信販会社)と契約をしてしまえばその部分は有効な契約になってしまうので、仮に「返済する」という書面の作成があるからといって安易に応じてはいけません。